劇場版レヴュースタァライト①初見時とテレビアニメ版を見た後の(思い出し)感想

※ 映画の感想です。本記事の2以降はネタバレを含みます。

※ 現時点では、劇場版、TV版、ロンド・ロンド・ロンドだけを鑑賞済み。ミュージカルやインタビュー、メディア記事などは観ていない状態で書いています。

1.はじめに

全国でわずかに上映を続けてくださっている劇場も、もうそろそろラストランを迎えているころですが、今更ながらこの映画―劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト―を初めて観た時の感想と、その後にTV版を観た後に感じたことを書きます。

初めて劇場版レヴュースタァライトを観た時の衝撃があまりにも大きくて、自分が考えたことを少しでも誰かに伝えたいと衝動的に思ったことが本ブログの始まりになっています。

キャラクターの名前も背景もストーリーも何も知らないで観たとはいえ、映画のつくりが全体として何か得体の知れないものに感じる一方、映像や演出や音楽から受ける衝撃と観た後になぜか心を揺さぶられるような感動があったからです。

観に行ったのは全くの偶然で、何も知らない映画をいくつか観ようと思ってpui pui モルカーと閃光のハサウェイを観た後にたまたま選んだだけでした。それも、すでに来場者特典も終わった8月でした。観る前に知っていた情報はこれだけです。

  • 「ここが舞台だ、愛城華恋!」というセリフ(劇場予告で多分見た)
  • デコトラが出てくる(Twitterで見た)

タイトルから予想していたこと

  • 高校の演劇部の部員の衝突や友情を通じて、彼女たちの青春を描くさわやかな感じのやつ

これの予想は大きく裏切られました。

本作は、何も理解できずとも、それでも何かを感じることができて、そして感動しすごく面白いと思える映画なので、もし観てない方は、前情報なしでぜひ観て欲しいと思います。

2.初見時の感想

観ながら感じたこと。

  • オープニングあたりで、東京タワーの鉄骨に長髪の少女が立っていて、風が下から吹き上げて髪がぶわっとなるところ、すごくかっこいい。
  • 話が、というか何が起こっているのか全くわからない。キリンが「わかります」と言うたびに(全くわからんのだが……)と思っていた。
  • 戦いの場面の音楽と演出がとにかく印象的、音も色も光も。とにかく強く惹きつけられる。監督は舞台芸術の人で現実で作りたいけど作れないような巨大空間での壮大な舞台装置をつくりたかったのか
  • 戦いをしている二人の関係はよく分からないものの、そこで交わされるセリフは強く印象に残った。グッとくる、かっこいい(語彙が貧弱)
  • デコトラのシーンは確かにすごかった。まさか、ここに全力を注いだのでは……
  • 用語もストーリーもキャラクターの心情も全く理解できなかったにもかかわらず、なぜか最後に向かって盛り上がっていくのを感じた。
  • 初めから終わりまで、何一つ分からなかったにもかかわらず、本当に面白かった
わけがわからない中でとにかく面白いと感じたせいか、知りたいと思う疑問点が次から次に出てきました(これらは1回目2回目あたりに出てきた疑問点不明点で、観れば観るたびにいろいろ出てきました。自分の中で解決できたものもあります)。
  • 電車内で雑談してた友達同士が突然衣装に着替えて、舞台化した電車の上で戦い始めた。状況が異常すぎて理解が追い付かない。
  • 戦闘のルールはどうなっているのか。肩にかけてる上着みたいなやつ(注:上掛け)を落とされたら負けっぽい?
  • ひとりひとり違う武器を持ってるけど、一人だけあの状況で圧倒的に不利な弓矢で戦っていて、彼女はバトルロワイヤルみたいにハズレ武器を引かされたの?
  • キャラクターがBGM(の一部)を歌っていて、この映画はミュージカルなの?
  • なぜ戦っているの?それも誰かが勝ち残るまで戦うんじゃなくて、何か因縁(幼馴染みとかライバルとか)がある二人で戦っているけどどういうことなの。
  • ロンドンの長髪の人だけがキリンと話していたが、彼女は敵側(キリン側?)なの?
  • そもそもキリンもトマトも一体何だったのか。。。
  • 表現は比喩なのか、それとも実際に起こっていることなのか。。。
それで帰って即調べたら、TV版があるらしい。じゃあということで、dアニメストア即契約してTV版を1度すぐ観ました。

3.TV版を見た後に感じたこと

劇場版・TV版で主に描かれているのは舞台で演じる9人の舞台少女たちの関係や心情ですが、わたしがTV版を観た後に劇場版を観なおしてまず感じたところは、それとは全然違うところでした。このとき一番印象に残ったのは雨宮さんと眞井さんでした。演技をする舞台少女たちではなく、舞台製作(舞台の裏方?)を学ぶ舞台創造科(B組)のお二人です。

TV版では主人公の華恋ちゃんが第100回聖翔祭の舞台に向けた稽古の中で、あることが原因で演技ができなくなった際、演出をしている雨宮さんが「まともに演技できないならやめろ」みたいなことを言って華恋ちゃんを激詰めする場面があります。聖翔祭は1年に1度行われる学園祭、そこで生徒たちは毎年同じ演目をすることで、作品と舞台への理解を深めていくという、舞台の世界を目指す彼女たちにとって超重大イベントです。それは稽古も本気にもなります。そして、行われる演目がタイトルにもなっているスタァライトですが、その重要なスタァライトの脚本全て雨宮さんが担当として任されている、つまり舞台製作を学ぶB組のなかで脚本部門のトップクラスの生徒なわけです。

劇場版では、雨宮さんは第101回聖翔祭決起集会までに第1稿を書き上げると意気込んでいましたが、その日までに原稿を上げることができませんでした。決起集会当日、彼女は集会が始まっても、もう何も書けなくなって、校舎内でまっさらな原稿用紙を前に憔悴しただ座っています。演出の眞井さんは、そんな彼女を「みんなが待ってる」と説得し、決起集会でみんなの前に立ちます。この未完成の原稿はみんなに配布されますが、そこで、眞井さんは脚本は未完成だけど卒業公演として最高のものを作りたいと話し、不安げに立つ雨宮さんの手を引き「みんなと」と強く呼びかけます。最高の卒業公演にすることへの不安を口にするものの、脚本が未完成だということに微塵も不安を感じていない眞井さんの雨宮さんへの揺るぎない信頼、最初は悲壮で言葉にならない中で今は未完成でも最高の最終章にすると宣言する雨宮さんの強い決意、これがわたしの心に刺さった場面でした。

演者となるA組の生徒たちも配られた未完成の脚本を手に、思い思いに雨宮さんが書いたセリフを読み上げていきます。(A組の生徒たちが期待に満ちた表情でセリフを一つ一つ言っていくこの場面はメインの彼女たち9人がそれぞれ入るカットになっていますが、その中で一人、とても複雑な表情で見ている人がいます。純那ちゃんです。これについては別稿で書こうと思います。)

あと、大場ななさん。劇場版の印象でTV版見たらはじめ印象違いすぎて混乱しました。第7話で違うアニメになったのかと思いました(これも別稿で)。

4.この時点での切実なまとめ:雨宮さんと眞井さんの話をもっと出してください。できればグッズも出してください…

演者である9人の舞台少女を主軸に描く本作品で、脚本部門でおそらくトップクラス(主席?)の雨宮さんでさえ持つ苦悩やその真剣さ、その雨宮さんを全力で信頼しA組B組をまとめていく演出部門の(リーダー?主席?)眞井さんという制作サイドの様子は、何度観ても心が締め付けられます。自分が演者より脚本を書いたり演出をしたりする人のほうへ引っ張られるタイプだというだけの話ですが、この映画を観て元気が出るとか前向きになるという感想は多いと思いますし、この場面もそういうところの一つでしょう。

それより、公式サイトみたらメイン9人のグッズしかないんですけど、雨宮さん・眞井さんペアのグッズはないんですかね……公式の皆様本当にお願いしますよ……

5.これから書きたいこと

自分で考えてみたこと、書きたいことがいくつもいくつもあって、その中で主に劇場版について次のようなことをこの後書いていこうと思います。見えやすいところから、あるいは書けそうなところから、ですが。

  • キャラクターの持つ武器の特徴と意味
  • キャラクターの二重性
  • 大場ななの二重性
  • 華恋の母の眼差し
  • レヴューにおける「生」と「死」と「トマト」
  • 今後の舞台少女オーディションの運営について
  • その他裏設定?
それから、これらは解説ではなくわたしの解釈です。監督や声優さん俳優さんたちがメディアですでに言っていることもあると思いますが、まだ劇場版とロンド・ロンド・ロンド(+TV版)しか観ていない中で、観たもの(+劇中で聴くことができるもの)だけから考えられること、解釈できることを書こうと思います。メディア評論の技術は持っておらず、同じ監督や他作品との比較や関係などには触れられません。

Twitterでも解説、解釈についてのものはほぼ見ないようにしており、またレヴュースタァライト後発組なので、もうみんな話し終わったようなことも書くと思います。(twitterで誰誰が言っているとかyoutuberが解説しているなどあれば、教えていただけるとありがたいです。)
そもそもこれがミュージカルがスタート地点だったということすら知らずに観ていたので、早くそちらも観てみたいです。監督の番組実況用カレーtwitterアカウントも消去当日に知ったくらいです……。

他の人たちと映画を観に行った人は観劇後にいろいろ話したりするでしょう。ですが、わたしは映画は一人でしか観に行かないので、そういうことをしたことがありません。そういうことをしたいと思ったのは本作が初めてなのです。もうわずかに続く上映も終わってしまう頃ですが、それが終わってしまう前に、またBDが発売される前に、何か少しでも共有できれば。

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